クリスマスケーキ
なぜだか父が、クリスマスケーキを買ってきた。1日遅れだったけど。
お前の為に買ったから、食べなさい。と渡され、ありがとうしか返せず…
なんで、このタイミングで優しくしてくるんだよ、とひたすら思い悩むばかり…
私は貴方を、もうすぐひとりぼっちにしようとしてるんだよ。
そう頭で繰り返しながら甘いケーキを頬張ると、今までなぞることを拒んでいた優しい思い出が甦って来て、どうしようもないやるせなさに胸が詰まった。
でも、決めたことは変えられないから。
いつか伝えなくちゃならない。
ケーキに刺さったサンタが、何だか父に似ている気がする。ポーチに忍ばせて持っていこうと思う自分の曖昧さが、すごく憎くて、少しだけ愛しいと思う。